フランスPhDメモ

【研究室探し】海外の教授へのメールの書き方

海外で博士課程を探す際に, 教授に直接メールをする時があります. 私が色々メールを送った結果, 個人的に返信率が高かったかな?と思うメールの構成を紹介します.

目次

メールの返信率の鍵

「返事をもらうコツ」をインターネットで調べると短い方が良いとか色々出てきますが, 結局返信するかどうかは教授によります. 私は1段落2〜4行を4段落で構成したメールを送り続けました。単語数で言うと350 wordsくらいです. メールにはCVも添付しました.

教授と共通のつながりがあるかどうか

また, 教授と共通の繋がりがあるかどうか(e.g. 現在所属している研究室と過去に共同研究をしていた等)が返信率の最大の鍵です. そのため, 教授との関係性でメールの内容は変える必要があると思っています.

返信率が低い順に:

  1. 興味のある論文の著者(教授)
  2. 知り合いに紹介してもらった教授
  3. 研究室間でつながりのある教授

当たり前ですが, (1)は見ず知らずの学生からメールが来るわけですから, 返信率は良くありません. 参考に私のコンタクト結果を下記に示します.

  1. 興味のある論文の著者(教授) 4件中(オランダ, ドイツ, イスラエル x 2), 2件返信が来ました.
  2. 知り合いに紹介してもらった教授 5件中(フランス x 3, イギリス x 2), 4件返信が来ました.
  3. 研究室間でつながりのある教授 3件中(ニュージーランド, フランス, イギリス), 3件返信が来ました.

内容は先方に合わせてカスタマイズ

メールは同じ内容で送信するのではなく, 先方(教授)の研究を下調べし, 「あなたのXXXXといった研究に興味があり, 自分のXXXXという研究がいかに関連するか, 力になれるか」を記載するように心がけました. 次の章で構成・例文を紹介します.

メールの内容構成例

メールは4段落で構成しました:

  • 1段落目:自己紹介, 先方の教授との繋がりアピール
  • 2段落目:自分の研究や実績
  • 3段落目:先方の研究室で研究をしたい理由
  • 4段落目:締め

メールの短さよりは, メールの見やすさを意識して, 改行や太字を使いました. また, 自分の研究の紹介動画や論文へのリンクも追加しました. 下記がメール全文です. 段落ごとのポイントはその後の章で説明します.

Dear Professor XXXX,
I hope this email finds you well. My name is {名前}, master’s student in {研究領域} at {大学名} in Japan. Dr. {紹介してくれた知り合いの名前} from the {大学名} introduced me to you when I was searching for a PhD candidate position. I am writing to enquire if there are any available PhD candidate positions in {研究室名} at the moment. Below are some details about my background:

1. My Research Interests and Background:
・ My research interest is {自分の研究分野}: In my Master’s program, my research focuses {修士の研究内容要約(1文)}. This involves {修士の研究内容の手法や結論(1文)} (Demo video here).
・Robust research background in {自分の研究分野}: I am conducting my master’s research under Professor {指導教諭名}. In line with the research-focused approach of master’s programs in Japan, I’ve authored two papers during my studies. One was accepted as a first-author contribution at the {国際学会名}, and the other is under review.

2. Motivation:
I was deeply impressed by your research, which has explored {先方の教授が研究で明らかにしたこと}. I share a keen interest in this field. Additionally, I am interested in {教授の研究と自分の研究の共通点}. Particularly, I want to research applications for {自分の研究が社会にどう役立つのか}

If there are currently available PhD candidate positions, I would appreciate it if we could arrange a time for an interview. I am on schedule to complete my Master’s degree in March 2024. I have attached my CV for your review.

Thank you very much for taking the time to consider my email. I hope to hear from you.

Best regards,
{名前}

1段落目:自己紹介, 共通の知り合い等

1段落目では, (1)自己紹介, (2)先方の教授との繋がりのアピール(ない場合は現在の指導教諭の名前を載せてみる), (3) このメールを書いた目的 を簡潔に書きました.

(2)を書く理由は, 見ず知らずの人ではないですよ!アピールです. PhDポジション探しをして感じたのは良い意味での「コネ」が非常に重要ということです. 人気の研究室だと何百人からの学生から問い合わせがあるので, その中で印象付けるためにはコネがわかりやすいと感じます.

コネがない場合には(2)は省略する. もしくは所属している研究室が有名であったり, 指導教諭が偉大な人であれば, 恩恵を預かりましょう. (あまり気乗りはしませんが, 仕方ない)

先方の教授と繋がりがある場合

Dear Professor XXXX,
I hope this email finds you well. My name is {名前}, master’s student in {研究領域} at {大学名} in Japan. Dr. {紹介してくれた知り合いの名前} from the {大学名} introduced me to you when I was searching for a PhD candidate position. I am writing to enquire if there are any available PhD candidate positions in {研究室名} at the moment. Below are some details about my background:

知り合いです感を出しました.

繋がりがない場合

My name is {名前}, and I am a master’s student in {研究領域} at {大学名} in Japan, conducting research under the guidance of {指導教諭の名前}. I am writing to enquire if there are any available PhD candidate positions at {研究室名} for 2024. I am scheduled to complete my master’s degree in March 2024. Below are some details about my background:

自分は指導教諭が, その分野で著名な方だったので, 名前を書かせていただきました.

2段落目:自分の研究内容と実績

2段落目は, 自分の研究内容や実績について書きました.

My Research Interests and Background:
My research interest is {自分の研究分野}: In my Master’s program, my research focuses {修士の研究内容要約(1文)}. This involves {修士の研究内容の手法や結論(1文)} (Demo video here).
Robust research background in {自分の研究分野}: I am conducting my master’s research under Professor {指導教諭名}. In line with the research-focused approach of master’s programs in Japan, I’ve authored two papers during my studies. One was accepted as a first-author contribution at the {国際学会名}, and the other is under review.

“My Research Interests and Background:”を太字のタイトルにし, “My research interest is {自分の研究分野}”と”Robust research background in {自分の研究分野}”を箇条書きにして, 端的に研究分野とバックグランドを述べるよう意識しています.

ヨーロッパでは修士で研究をガッツリするのは珍しく, コースワークが多いということで, 日本の修士の研究経験は強みになると聞いたので, “Robust research background”としてアピールしました.

メールにはリンクを2つ追加しました. “Demo video here”と”One”の部分です. “Demo video here”は自分の研究の紹介動画へのリンクです. 国際学会で提出が義務付けられており, たまたま持っていたのでそちらを使いました. “One” は自分の論文へのリンクです.

3段落目:相手の研究室を志望する理由

3段落目では, なぜ先方(教授・研究室)に興味があるのか, 自分がどう力になれるのかに焦点を当てて, 簡潔に書きました.

Motivation:
I was deeply impressed by your research, which has explored {先方の教授が研究で明らかにしたこと}. I share a keen interest in this field. Additionally, I am interested in {教授の研究と自分の研究の共通点}. Particularly, I want to research applications for {自分の研究が社会にどう役立つのか}

先方の教授(研究室)の論文をいくつか読み, 明らかになったことに関心があるアピール, それらと自分の現在の研究に共通点があれば, その部分をアピールしました.

また, 上記研究結果が社会にどう還元されると思うかという意見で段落を終えるようにしていました.

4段落目:締め

If there are currently available PhD candidate positions, I would appreciate it if we could arrange a time for an interview. I am on schedule to complete my Master’s degree in March 2024. I have attached my CV for your review.
Thank you very much for taking the time to consider my email. I hope to hear from you.

Best regards,
{自分の名前}

最後に, 自分がいつから博士課程に参加できるのかを明確に記載しました. CVを添付して終わりです.

英文の作成, 校正方法

英文の作成, 校正にはchatGPTの力を借りました.

英文の作成

ベースは自分で考えつつ, もっと良い表現がほしい時にchatGPTを使いました. chatGPT感あると感じた表現は, 言い換えを色々検索して変えました. ”keen interests”は個人的にchatGPT感ありますが, 使用しています.

校正

校正もchatGPTです. chatGPTに「世界中からメールをもらう教授であると想定し, 下記で共有するメールが魅力的なメールであるかどうかをチェックしてほしい.」というプロンプトを入れます.

Please assume that you’re professor in {研究領域}, who is receiving many emails from candidates all over the world. Could you review the following email so that the email can impress the professor.”

その後, 作成したメールの個人情報部分を伏せてchatGPTに送信します.

内容以外のコツ

1回目で返事が来ない場合は, 1,2週間後にもう一度送りましょう. 毎日たくさんのメールを見ている教授達なので, わたしたちからのメールはすぐ流れてしまいます. 「先週も送りましたが」みたいな前置きは失礼と思ったので, 私は同じ内容のメール+お忙しいところありがとうみたいな例文を追記して再送しました. 私は最高3回送って, 3回目で返信が来ました. バケーションシーズン(クリスマス, 年始, イースター休暇, 7〜8月)も避けましょう.

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