フランスPhDメモ

【フランス研究者ビザ申請の流れ】研究室内定からビザ取得まで

フランスでの博士課程が決まったので、内定からビザ申請までの大まかな流れをまとめました。 特に、公的研究機関で博士課程を行う場合、内定後に機関の防衛保安担当またはフランス内務省によるセキュリティチェックがあります。こちらに関する日本語の情報がほとんどないので、参考になれば幸いです。

本記事について
  • 2024年7月時点の情報
  • 博士課程(コンピュータサイエンス)
  • 研究者ビザ(Passport talant / Chercheur)での申請の流れ
  • 後日同行する家族ビザの申請の流れ

目次

参考にしたサイト

はじめに、自分のビザ申請にあたり、非常に!参考になったサイトをご紹介します:

下記noteは、フランスでの手続きについても記載してくれています:

下記2名の方のnoteは、家族の同行ビザも申請したい方におすすめです。もちろん家族を同行させない場合でも参考になります。

ビザ申請までの流れ

ビザ申請の流れは下記です。

  1. Convention d’accueil(受け入れ協定書)の発行を先方に依頼
  2. セキュリティチェックに関する質問対応
  3. フランス大使館を予約
  4. 申請書の作成
  5. 必要書類の収集
  6. フランス大使館を訪問

Convention d’accueil(受け入れ協定書)の発行を先方に依頼

Convention d’accueil(コンベンションダキュー)は大学や研究期間による受け入れ協定書です。この書類の原本(i.e. サイン入りの紙の書類)がないと、ビザ申請はできません。

Convention d’accueil発行に必要な書類

おそらく、受け入れ期間先から案内があると思いますが、Convention d’accueil発行に必要な書類は以下です:

  • パスポートのコピー …(A)
  • 出生証明書書(戸籍謄本)…(B)
  • 出生証明書(戸籍謄本)の英訳 …(C)
  • 修士の修了証明書(英語)…(D)

(A) パスポート

白紙が終わる年まで有効期限が残っているかどうかを確認してください。

(B) 戸籍謄本

市役所でも発行できますし、マイナンバーカードがあればコンビニでも発行できます。

(C) 戸籍謄本の英訳

自分で英訳したもので構いません。私はYuya Matsumotoさんが翻訳・配布してくださっているTeXテンプレートを使用しました.

(D) 修士の修了証明書(英語)

大学で英語の修了証明書の発行を依頼してください。

受け入れ期間先から案内がない場合

先方から、Convention d’accueilを発行手続きについて案内があれば、そのまま進めていけば良いです。私の場合は内定が、12月のクリスマス前に出て、2ヶ月たっても担当者から何も連絡がなかったので、こちらから勝手に必要そうな情報をメールで送付しました。

Bonjour, Convention d’accueil発行してくださいませ。パスポートのコピー、出生証明書、修了証明書はメールに添付しました。」

とメールしましたが、返信が返ってきたのは5月でした。2週間に1回丁寧な催促メールもしましたが、2ヶ月返信無しでした。これはフランスでは普通のようなので、「迷惑かな?」と思わずに、返事が来るまで送り続けた方が良いらしいです。フランス人の同僚に教えてもらいました。

そして2ヶ月の時を経て、研究室の秘書さんよりいただいたメールは下記でした:

Sorry, 返事が遅くなった理由は下記です。実は内定が出ていても、研究所や国のセキュリティチェックを通過しないと博士として採用できません。セキュリティチェックが通過しそうな見込みが出てきたのでConvention d’accueilの発行手続きを進めたいと思います。

….セキュリティチェック!?次の章で説明します。

セキュリティチェックの質問対応

フランス人以外(もしかしたら非EU国民)は、フランスの公的研究機関で博士課程に進む場合、研究機関の防衛保安担当または、フランス内務省のセキュリティチェックを受けなければなりません。セキュリティチェックを通過できなかった場合は、たとえ内定があっても博士課程には進めないそうです。

ただセキュリティチェックとは言っても、こちらがすることは特にありません。先方から質問がくることがあるので、それに対応するのみです。よっぽどのことがない限り、チェックは通過できるようです。(例:犯罪歴、テロ関与、政治的に問題がある国出身等)

セキュリティチェックの過程で、私が受けた質問や、研究室の先輩が受けた質問は下記で紹介しています。

フランス大使館の予約

Convention d’accueilがいつ届くかはわかりませんが、フランス大使館の予約は先に取っておきましょう。いつでもキャンセルできるので、問題ありません。

予約は、専用サイト(Appointment booking service with the French consular services (Ambassade de France au Japon))から行います。シンプルなサイトなのですぐに要領はわかると思いますが、念の為予約方法も記事にしました:

7〜8月は予約が取りにくいのでご注意ください。

フランス大使館情報
  • ビザ受付時間:09:00 - 11:30
  • 住所:東京都港区南麻布4丁目11−44(広尾駅から徒歩10分)

※念の為最新情報をフランス大使館のサイトからご確認ください:The Visa section of the Embassy of France in Tokyo

申請書の作成(オンライン)

france-visas.gouv.frのApplication Formで作成し、申請します。フォームを埋めていくだけなので簡単ですが、わかりづらいところもあるので、別途記事にする予定です。

上記で作成した申請書は印刷して、大使館に持っていく必要があります。オンライン申請だけでは完了しませんのでご注意ください。

必要書類の収集

必要書類は下記10種類です。

  • パスポート …(A)
  • パスポートのコピー(顔写真があるページ)…(B)
  • 申請書(印刷し、証明写真を貼って、サインをする)…(C)
  • 証明写真(申請書に貼る)…(D)
  • 修士の修了証明書(英語)…(E)
  • Convention d’accueil…(F)
  • 16,780円 …(G)※2024現在の申請料 ※お釣りが出ないように!
  • 申請書チェックリスト(ダウンロードした申請書の最終ページにある)…(H)
  • 大使館予約確認書 …(I)
  • レターパック(赤)…(J)

各書類の詳細は, 下記で詳しく書きました.

フランス大使館へ

書類が完成したら、いざフランス大使館へ行きましょう。1つでも書類が足りなかったら受理されませんのでご注意ください。また、予約表の名前とパスポートの名前が一致していなかったら入館できませんのでご注意ください。

大使館到着から申請完了までの流れ
  1. 入り口で警備員に予約書とパスポートを見せる
  2. 荷物検査
  3. 貴金属探知機での身体検査
  4. 大使館に入場
  5. 名前が呼ばれるまで、ロビー(?)で待つ
  6. 名前が呼ばれたら、1番窓口で書類を提出
  7. ロビーで再び待つ
  8. 名前が呼ばれたら、2番窓口で指紋登録・顔写真撮影

以上で手続きは終わりです。私は11:30が予約時間、11:20に入館、11:38には手続きが終わり大使館を出ていました。フランス大使館の口コミが軒並み悪いので、ドキドキしながら行きましたが、対応してくれた方は全員優しく、手続きはあっさり終わりました。

5日後にビザが郵送で届いた!

なんと…7月18日(木)に大使館で手続きを済ませ、7月23日(火)にはビザ付きパスポートが家に配達されました!早すぎる!土日の休業日を除けば、3日しかかかっていません…!ビザと共に、Convention d’accueilも返却されました。

個人的感想

フランス大使館は口コミが非常に悪いので…何度も何度も家で、書類の不備をチェックし、相手がスムーズに仕事をできるように心がけました。他の方のnoteにも書いていますが、こちら側がしっかり注意事項を読み、書類を完璧に揃えさえすれば、大丈夫です。

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